天体望遠鏡の向こう
「ん、ああ」
つめてー!うめー!という四人の声を後にし、男はゆうきと一緒に望遠鏡のところへ向かう。
「うわ、この望遠鏡すっごい見やすいですね!いくらでした?」
ゆうきの問いに、答えを持たない男は適当に答えた。
「さあ…。忘れました」
「と言うか、知らないんでしょう?」
「…え?」
間髪いれずに言葉を返してきたゆうきに、男の顔が固まる。
「それはどういう…」
「あんた、流星の父親じゃないでしょう」
ぎくりとした。
そう、自分は流星の父親ではない。
親戚でも、顔見知りですらない。
ただの泥棒なのだ。