天体望遠鏡の向こう



男がどう言葉を続けようかと考えていると、またゆうきが問い詰めてきた。





「あんた、泥棒だろ」


「…!」





否定できなかった。





「どうして…」





まぬけなことに、理由を聞いてしまう。





「さっき流星がそこに置いてあった鞄…。あれ、あんたのだろ?ちょっとだけ中身が見えた。あんなもの入ってるのを持ち歩く親なんていない。それにあんたは父親にしては若すぎるし、流星に対して少しぎこちなかった」


「…そうか」


「流星はばかだから、きっと寝ぼけてそのまま気付かずにあんたを引っ張ってきたんだろう。まあ、帰り道にはさすがに気付くと思うけどね」





ゆうきは望遠鏡をのぞいたまま話し続ける。





「やっぱり、あいつばかなのか」





不思議と、そこに笑えた。

ゆうきは望遠鏡から目を離し、男に譲った。





「見てみなよ」





おとなしくそれに従う。


のぞきこむと、そこにはさきほど見たよりもずっと大きく、近くで星が輝いていた。


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