天体望遠鏡の向こう
あの日のりゅうせい群。
「なあなあ、流れ星ちゃんと見えるかなあ」
「さあな」
きらきらと目を輝かせて男の隣を歩く流星。
未だに男に気づかないのかが本気で心配になってきた。
流星が重度のばかなのか、流星の父親の影が薄いのか。
「たつやがさ、河原で見ようって。俺が望遠鏡持ってきて、たつやが星座早見盤持ってくるんだ」
チャンスはいつか来るとほとんど投げやりな気持ちで、こっちを見ようともしない流星の話にのってやる。
「何人来るんだ?」
「俺と父ちゃん合わせて六人!つか、昨日言ったよな」
ああそうなのかと思いながら、そうだったなと返す。
ばかというものは本当に扱いやすい。