伯爵令嬢の結婚
だが、仮面で隠れていてもすっと通った鼻筋や形の良い薄い唇は男性が美しいことを想像させる。


「ご気分はどうですか?」


「あ、はい、もう大丈夫です。ありがとうございました。」


その声にはっと現実に引き戻される。

……この失態が父様に伝わらなければいいけれど…


「お嬢様は、もう公爵様にはお会いになりましたか?」


突然ボーイが話を振ってきた。


「あー…いえ、まだ。」


不思議に思いながら答えた。先ほどの女性たちの争いを思い出して顔が歪みそうになる。
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