伯爵令嬢の結婚
ぐっと拳を握り、ラザフォード公爵を見据えた。
「…そのお話、もしもわたくしが断ったら?」
公爵の秘密を社交界に流せば、それこそ大スキャンダルと言っていいだろう。
ラザフォード家を蹴落とそうとしている貴族はそれこそいくらでもいるのだ。
それでも、私にそれを話したということは……
「そうね。残念だけれど、レヴァイン家をラザフォード家のすべてをもって潰す、と言ったら?」
冷え切ったようなサファイアブルーの瞳が細められる。