伯爵令嬢の結婚


「奥様?聞いておられますか?」


アンナの声に未だ夢うつつを彷徨っていたリリスの意識が呼び戻される。


「もう、アンナ。その呼び方はやめてちょうだいと言っているでしょう?それに、まだわたくしは正式なラザフォード公爵夫人ではないのよ。」



顔をしかめてアンナをたしなめた。



「何をおっしゃるかと思えば!それも今日までのお話ですわ、リリス様!本日は公爵様との結婚式。晴れて公爵様の奥方となるのですよ!」



アンナは未だ興奮冷めやらぬという様子で熱く訴えてくる。


そう、今日はラザフォード公爵様との結婚式なのだ。
< 50 / 97 >

この作品をシェア

pagetop