自殺志願者
いつもの奴というのは、俺が悩みをつぶやくと必ずその日のうちに"大丈夫。"とか"あなたなら出来る"とかよく分かんないけどすっげー励ましてくれる人。
ホントはこの人のことは何も知らない。
最初は無視してたんだけど、何回も来るから"ありがとう。"とだけ返してるけど。
今さっき返ってきたのも、
"高校は中退してほしくないけど、どうしても辞めたなら覚悟はいるよね"
…と。
「……何だコイツ。年上か?」
プロフィールの画像は何かのキャラクターだし、名前もそのキャラクターの名前になっている。
「………botか?」
それにしては個人に話しかけすぎだろ…。
俺は返信をせずに、パソコンから離れた。
……俺はこれからどうするんだ。
考え始めてすぐ、俺の携帯がなった。
「……はい」
『もしもーし悠登!!元気!?』
「…うっせ。急になんの用だよ………井野。」
そう。この電話の相手が井野。
井野羽衣。
俺と小、中と同じで仲が良かった。
高校が離れてからも度々会っていた。
バイト先も同じで、中学の時よりもあってる気分。
『元気してる?』
「…ん、まぁまぁ」
『今から外出れる?私、いま学校終わったとこなんだけど。』
部屋の時計を見ると、3時40分になろうとしていた。
「まぁいけるけど。」
『了解!そしたら、今から電車乗るから4時過ぎに悠登の家に行くから!…あっ、お母さんには遅くなるって言っときなよ!』
「えっ、遅くなるって…」
『あ!ごめん!電車乗るね!!』
プツッ…
そう音を立てて通話は途切れた。