先回りはしたくてしてる訳じゃないんですけど!
あれ?なんかこんなにあっさりで大丈夫?
朝になって、ぐったりとした体を無理矢理起こした。
時計をみるといつも起きる時間よりも2時間寝坊だ。
今日が休日で本当に良かった。
隣でぐっすりと眠る彼。
布団から胸まで出ている彼に布団を被せてあげる。
あぁ、昨日は幸せだったなぁ。
なんだか、政孝も結婚に結構前向きに考えてくれてるみたいだし、何だかんだで雑誌見つかっちゃって結果オーライだったのかも。
昨日は普段では有り得ないくらい、むしろ、初めてなんじゃないかと思うくらい、何度も何度も彼は私に言ってくれた。
『愛してる』
『好きだよ』
『菜々美、菜々美、ずっと菜々美は俺のものだ。分かった?』
私も何度も彼の言葉に頷いて何度も同じ言葉を返して…
思い出すと嬉しくて、幸せで一気に体が熱を持ち始めた。
ダメダメ!
朝だし!
朝ご飯、彼の為に作るんだもん!
彼の額にキスを1つ落として私は台所へと向かった。
******
「菜々美、今日は出かけるぞ。」
「え?急にどうしたの?」
朝食のパンをかじりながら彼はそう告げた。
「…指輪選びに行こう。時間があれば式場も。」
「………………へ?」
「何。嫌なのか?何が不満なんだ、言え。」
「いや、不満なんてひとつもないけど、いきなり過ぎて…」
確かに昨日は結婚の話になったけど、まさか…
え?
もしかして、もう結婚すること決まっちゃったの?
いや、私は良いですよ?
結婚する気、むしろ、プロポーズする気だったし。
でも、彼は?
こんなに即決しちゃって大丈夫なんだろうか?
「あの、政孝はそれでいいの?」
「どういう意味?俺は自分がしたい事しかしたくない。」
「…そうですよね。私と結婚する…てことで良いんだよね?」
「あぁ。それは昨日何度も菜々美に言ったはずだけど。」
どうしよう、どうしよう!
怖いくらい幸せ!
念願の、幸せな27歳を迎えられそう……
「あの、これからも宜しくお願いします。」
とりあえず、私を相手に選んでくれた彼に挨拶をして満足した私はルンルンで朝食を食べるのだった。
END