瞳が映す景色

「コトハが、片山先生を好きだったのは感じてた。あの子、先生のとこ行く時だけ、ちょっと前髪を触るの。ワタシだけが気付いた。当たり前でしょ……でも、それだけ。それ以上は知らない。あと分かったのは、振られちゃったんだなって」


違う。


けど……。


「コトハのこと怒ってる?」


「っ、そんなことっ! ない……」


「なら、もうひとつお願い。先生の胸の花をください。だって」


オレの花は、卒業生のそれより控えめな大きさの白い花。


迷う間もなく、澤に奪われていき。


……いけないことを想像した。


その花が、代わりにオレの行きたい場所へ行ってくれるんだと思うと、幸せを感じた。


ごめんな、藁科。どこまでも勝手で。

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