瞳が映す景色

①ー8・白い妖精

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①ー8・白い妖精
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「ゲンちゃん、パーティーをしようっ!」


「……」


「さあっ!!」


クリスマスの午後。玄関を開けるとそこには、白鳥サンタがいた。頼むから、そのサンタ帽はたった今被ったんであってほしい。自宅からだったらゾッとする。


「気持ち悪い……なんで男ふたりでケーキを食べなきゃいけないんすか」


「イブは恋人。クリスマスは家族や友人とのものだ。さあ行こうっ!」


何度か強引に押しかけてきたことのある室内は、白鳥さんの勝手知ったる他人の家で――身支度を整えさせられている間に、本日の服装が準備されてあった。


「……なんでイイ感じの仕上がりになってるんだ」


豊富じゃないワードローブの中から、オレが考えるよりもワンランク上のコーディネートに何故か仕上がっていて。


促されるままに靴を履き、恋人だらけの世間に連れ出された。

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