瞳が映す景色
「でも、オレ、そんなにおかしかったですか?」
「うん。青春男子がそのまま成長しちゃった感じ? 悪く言えば甘ちゃんだよね。なのに仕事に対する姿勢は前より良くって、バランス超悪い」
「……歳の差以上の大人っぷりが悔しい」
「そんなことないさ。今日みたいな日にゲンちゃんとなんて情けない。その辺で女の子見繕ってくる?」
そう言って、白鳥さんはマフラーを巻き直し、コートの襟を軽く整える。
「健闘を祈る~」
「適任はそっちでしょう。それにそんなこと可能だったら、今の状況になってない」
「その通りっ! それにゲンちゃんも僕も、そんな簡単な相手、求めてもないしね」
「……」
――同じようなことを、白鳥さんは言われていたと思い出す。
こんな些細なことで簡単に蘇る。
オレの考えなど、とても分かりやすく伝わっていたようだ。