瞳が映す景色
馬鹿だ馬鹿だと、ずっと言われ続けて道を歩く。
「ホント馬鹿だね。なんで勝手に全部決めるのさっ。相変わらず悪い癖。――あの子は飛ばせてくれる相手なんて求めてないよ? 自分ですることだって思ってる。それに、ゲンちゃんがそんだけ自覚あるなら問題は瑣末だった、と僕は思うね」
オレ次第っていうのは、多くに頷ける。……理不尽に、泣かせるようなことにはならなかっただろう。
でも、もう。
「今度そういうことがあったら、逃げるなよ?」
「そう出来たらいいですね。白鳥さんにまで見放されたら、ちょっと寂しいかも」
「おおっ!! ケンカしてたのに、そんな嬉しいこと言われたら許しちゃうじゃないか~っ、ゲンちゃん」
「どこがケンカッ!? っ、ちょっ! 肩組まないでっ」
「いいよねっ。女のことで言い合うのもっ」
力の差こそあまりなかったが、背丈の分、振りほどくのに苦労をした。やっと解放されたと思ったら、白鳥さんは破顔している。
「僕も早く幸せになりたいね、たったひとりと。そうしないと三十歳までに死んでしまう運命なんだ。ゲンちゃん助けてよ」
「短命にしては色々と図太いでしょう。それに……たったひとり、いなきゃおかしいと思うくらいには……イイ男ですよ」
恥ずかしくて顔を背けた。オレに出来る照れながらなど、せいぜいここまでだ。
「そう? じゃあ――藁科みたいな子がいいなっ」
……少し、前言撤回。