瞳が映す景色

「名前出すの控えてくれたのは後々大きな爆弾投下するためかよっ……好み、違うって前言ってたじゃないすか」


「口が滑っちゃった~」


その一言で片付けられる。


「……ところで、何処行くのか聞いてない」


察した様子では、どうやら集まる友達はオレだけじゃないらしい。知らない人なら事前に教えてほしかった。腹が痛くなるから。


「大丈夫。仲間がたくさんなとこ」


「こんな日に……余計に寂しくなりそうだ」


見上げると、やがて出番の星空は拝めそうにない厚い雲が空全体を覆っていた。雪まで降って、これ以上状況だけはロマンチックにしないでほしい。


問いには明確に答えてもらえず、白鳥さんは先頭立って先を急ぐ。途中、ケーキ屋や惣菜店に寄り道した。どの店舗でも、白鳥さんは馴染みの客のようで店員と仲がいい。……余談として、全部、女。


「いいお店なんだよ~」


オレに言った言葉を、何故か各店舗の女の子が喜んでるし……。中にはそんな甘い台詞に眉ひとつ動かさない人もいたが、食料調達というよりは、白鳥さんの人気っぷりを披露されただけだったような気がする。

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