瞳が映す景色

予約してあったらしい特大ケーキを始め、チキンやらサンドイッチやら、他にもたくさん抱え込む。


「……重い」


訴えると、チキンだけは持ってもらえた。けど、重さの大半は生クリームとスポンジだったようで、あまり意味を成さない。


「チキンは一番大事だから大切にするんだ。逃げられたら困るから残りはゲンちゃん」


「はあっ? ……合コンの数合わせとかだったらすぐ帰ってやるっ」


「そんなんじゃないから。あっ、あと、料金は割り勘でね」


「金ないですから」


「大丈夫。足りるくらいは入ってるの確認したから」


コーディネートの際、そんなチェックまでされていたらしい……。


鍛えていない腕には不相応な重量の荷物を下げたまま、それからもしばらく連れ回された。


これ以上の買い物……オレはもう無理だ。

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