瞳が映す景色
雪空の下、白鳥さんとしばらく歩く帰路も、もうすぐ別々になる。
どうせもう、と思った。情けないところは散々晒したし、慧眼だし。
「……ホントに、どうしようかと……。あんなことしておいて、今でも勝手に好きで」
「藁科のこと?」
頷いた。
「……自分だけで想っていくのならいいだろって思ってた。けど、みんな、もうそれもどうにかしろって言う。……それがいい……出来るかも。そうで、ない、とも……。姿見て、声聴いて、あんな……」
バラバラな心のまま、まとめられるわけがない。
ただただ、誰かの導きが欲しかった。
「それは……正直、僕にも分かんないね」
「……」
「迷って迷って、ずっとそのままの僕に答えは出せない。そうでなかったとしてもきっと同じだけど。……忘れたほうが、いいかもしれない。でもね、そう思ったのは、ゲンちゃんがあまり苦しまないにはどうすれば、って、考えただけで正解かはね……。僕はゲンちゃんの友達だ。藁科も大切だけど、ゲンちゃん優先だよ、僕は。それをふまえて言わせてもらうなら、非は向こうにもある。終わりに向かわせたのは藁科も同罪。僕たちは教師なんだ。あの子たちみたいに、あんなに、自由には生きられないでしょう」