瞳が映す景色

雪を踏みしめながら落ち着ける場所を選ぶ。何処でも独り占め状態の公園で、オレはブランコを目指すことにした。積もった雪を軽く掃い、子どもの頃以来のそこに腰を下ろす。


「すまなかった。自分のことばかりだった。迷惑かけた」


「迷惑かけたのはこっちでしょう? 自覚あって、それでも先生の周りにいたんだから、私はホントにたちが悪い」


電話の向こうには音が無かった。カラオケには行かなかったんだろうか。


今、何処にいるんだろうか。


「ひとりなのか?」


「、はい」


「そうか。頼むから、どうか暖かいところにいてくれよ。外はとんでもなく寒いぞ」


「先生は外?」


「ああ。帰ってるとこ」


暖かいですよ。そう答えがあって安堵した。

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