瞳が映す景色
そろそろ理性の壁も限界だ。落ち着く時間が欲しくて解放した。
「――ねえ、先生。さっきからなんで私を見てくれないの?」
それは……
「……恥ずかしいからです」
「それはそれは、とても嬉しいですね。でも、照れるのは、私をどう想ってくれているのか、もう一度ちゃんと言ってからです。……叶ったんだと、思うの。でも……」
不安には絶対にさせたくない。オレが告げたつもりでも、届いてなかったら、それに意味はないのだから。
だから、ちゃんと。
密かに足が震える。だから、すまないが、雪の上のまま。
キレイなキレイな深い茶色の瞳の中には、オレが映っていた。
「藁科が好きだ。忘れられなかった。一番大切で、唯一なんだ。大事にする。だからお願いです。オレと恋人土同士になって下さい」
届いてくれるだろうか。
「――はい。とても嬉しい。私も大好き」
「――ありがとう」
キスをした。……こんなことと、後から思い出して気絶しそうになるほど、また抱きしめて、またオレの前で泣いてくれた藁科の頬に、耳元にもキスをした。
もっと伝わるように、好きだと告げた。