瞳が映す景色

「だって……誰よりも傍へって、触れたいって、 あんなに欲しいって思ってたけど……なんだか私だけこんなので恥ずかしいのっ。先生は大人な感じで、まるで余裕だし……」


「そんなふうに見える? 大人なもんかよっ。抑えきれないから、こうして藁科を困らせてる」


「ううんっ、困ってないっ。――嬉しい。ちゃんと伝わってくるから」


「じゃあ、もっと伝えていくから覚悟しておいて」


理性の壁だって、なるべく保ってみせましょう。


「……なんだか、言い方がエロオヤジです」


「オッサンじゃないって、藁科が言ってくれたんじゃないか。変な想像してる藁科のほうが……」


反論する余裕も失くした藁科が暴れだす。けど、オレの腕の中、絶対に放してなんかやらなかった。


今度は顔を背けてしまった藁科に、少し強引に、 もう一度キスを。


寒さが気にならなかったのがオレだけだったら、それは反省だ。後は特別、ないだろう。


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①ー9・瞳に映す景色
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