瞳が映す景色
――結局、こんな押し問答は体力を消費させてしまうだけだし、先生は折れる様子もなさそうだったから、私は帰ることになってしまった。それでも送ると言う先生をなんとかご自宅に残して。
冬の夕方は足が速い。空にはもう星が瞬いていた。心配させないために、駅への道を急ぐ。
……けど、私の行き先は美月ちゃんのお宅で、今日はそちらにお泊りさせてもらえることになった。ついさっき了承をもらえたし、さすがにお姉 ちゃんに帰宅をお願いするのも申し訳なかったし。
風邪がうつるとか、もっと他にも先生に理由はあったみたいだけど、私は、平気なのにな……。
『もっと、甘えてくれてもいのに』――
――とびきりの、私が可能な限りの最大限で、可愛く感じてもらえるように囁いた。けど、片山先生は、悔しいかなやっぱり大人で、翻弄されてはくれなかった。逆に私が落ち着かなくなってしまって……悔しいな。
クリスマスの夜みたいに、もっと私を欲しがってほしい。
こんなこと、私が考えてるって知ったら、先生はどう思う? 引いちゃう?
嘘はついてない。けど、色々と画策はしてる。
もっと私を好きになってほしい――そんなこと言ったら、きっと最上だって返してくれるだろうけど、もっと。
もっと、ワガママになって――そんなこと言ったら、してるって返すだろうけど、もっと。