瞳が映す景色
もっと……もっとと、私には果てがない。
それは、やっぱり、元先生と元生徒だから難しい? 時間が必要? 私がまだ、先生と呼ぶ以外を見つけられないのと同じで。
なら、いつまでも待つから。もっと頑張るから。
長い時間をかけてくれるっていうことは、それだけ、私が望む未来を、先生も望んでいてくれるっていうことだと、信じてるから。
だからどうか――。
雑踏の音が耳に入る。あれこれ考えて歩くうちに、あっという間に駅前に到着してしまった。本当は引き返したいけど、ここは我慢だと歯を食いしばる。
映画館、洋服屋さん、噴水公園――まだまだ少ない、無理矢理つきまとっただけの場所が大半だけど、片山先生との想い出がたくさん目に入って、心が甘酸っぱくなる。これからは、ちゃんとふたりのものとして、増えていけばいい。
こんなことばかり考えてる私は、気持ち悪いって思われないかな。
……わたしは、片山先生に嫌いになられてしまうのが、一番、怖い。
『そんなことないよ』
今の先生は、きっとそう言う。自惚れじゃなくて、これは確信。
だから私は、それがずっと続くよう、ずっと好きでいてもらえるよう、最大限の努力をするんだ。
けど、願えるものにはなんだって願う。
だって、絶対になくしたくないから。