瞳が映す景色

……


海堂を見送った後、オレは、呆然と教室を見渡した。




改めて……


ここは学校で、


オレは教師で、


藁科は生徒で。


ほとんど毎日、顔を合わせる。


……どう断れば最善なんだ?


どうやったって、こちらの立場が弱い。






とぼとぼと力なく職員室へ戻り、あなたにもこうなった原因があるんだと言えない代わりに、白鳥先生の頬を思いきりつねり、やつあたりをした。


冗談でした、夢でした――神様に、耳元でそう囁いてほしいと切に願ったこの夜。


寝つきは最悪。


ベッドの上で転がり続けながら朝を迎えた。

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