瞳が映す景色

②ー4・アルビノ

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②ー4・アルビノ
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三月、のこと。




「人生で、初めての告白が好きじゃない子になんて……ね。しかも、バッサリ振られちゃった」


もう……


……のっけから最低だ。


どうかしてるよね~、と最低最悪なことを口にした本人は……さほど、どうかしてるなんて思ってもいない素振りで、食べ終わったお弁当の容器を片付ける。


「話折るけど、ここ、もういっそのことイートインスペース増やしたらどうかな」


「需要なし」


「え~、僕は~?」


「カウントにも値せず」


「ま、カウントあっても需要と供給はバランスとれてるみたいだね」


でも、と使い捨ての空容器をゴミ箱に捨てながら、それが勿体ないと眉を寄せて考える様子に調子を合わせる。エコ的な会話のほうがまだ建設的だからだ。


けど……


忘れてくれてるわけはなく、白鳥さんはベンチに舞い戻ると、あたしにいつもと変わらない視線を送ってきた。……聞いて、ほしいんだ。




今日は、白鳥さんの勤める高校の卒業式だった。


式服に身を包んだ姿は去年の春以来で、カジュアルなものよりも幅広なネクタイを窮屈だと言いながら外す。


あたしは、それから視線を外してため息をひとつ。


「へえ。そう」


受ける側は数知れずなんだから、する側ということだろう。


どうにも要領を得ないのは、白鳥さんの言葉が足りないのか、いまいち本調子じゃないあたしのせいか。


答えの捜索はしない。

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