瞳が映す景色
コンビニに到着し、余分なことはしないように、一目散におにぎりとサンドイッチを手に取る。
会計を済ませると、デザートコーナーでは、雅が白鳥先生にプリンをねだっていた。雅の背後では菜々がそれを必死に止めさせようとしているけど、如何せん小さな菜々に雅の勢いは止められない。
「あたしが買ってあげましょう。雅さん」
困り顔の白鳥先生の眼前にあったプリンを拐い、もう二つプリンを追加して再度精算をする。
「心配してくれて、分けてくれようとしてくれて、先生に懇願してくれたお礼だよ」
「小町ぃ。大好きっ」
振り返りながら言ったあたしに、どんと抱きついてきた雅は、限定を発見したとお菓子を買いにいってしまった。
「白鳥先生、本当にありがとうございました。助かりました」
まだデザートコーナーに佇んでいた白鳥先生に深々と頭を下げる。あたしの隣では、何故か菜々まで一緒にお礼をしてくれていて。
「菜々もありがと」
「午後も頑張ろうね」
「うん」
二人同時に顔を上げた先で、何故か誉められる。
「いや~。プリンの買い方男前だったよ。これなら赤組は安泰だね」
どこがどうなのかは不明だったけど、まあ、良しとしておこう。
「先に乗っていていてもらっていいかな?」
鍵の束を白鳥先生から預り、これが車のだと教えてもらい、菜々と二人で外に出る。
ガラス向こうの店内では、雅が白鳥先生に急かされて戻ってくるところだった。
安全運転を、と白鳥先生は来た道を帰ってくれた。