瞳が映す景色

「和風カフェか。団子余ったら、オレに教えてくれよな」


「買い取り、してくれるんですか?」


「えっ……そんなシステムだったけか?」


「ふふっ、嘘です。センセは甘党なんですか?」


「ん、あんこだけな。――ときに藁科。その『センセ』という言い方、キャバクラみたいだ。面接の時にうっかり出ないように、今から気をつけておいてもいいかもしれないぞ」


「……」


文庫本を閉じる音が響いた。見ると、藁科の顔がひきつっていて。


あれ? 問題発言でもしたか、オレ……。


「行ったことあるんですかっ? キャバクラッ!?」


「ああ……、そっち?」


「えっ、そっち?」


「いや、こっちの話。付き合いで一回か二回だけだよ。……まあ、オレの主観でしかないが、言葉は最後まで発音してこそ美しいんだぞっ」


一体そこにどれくらいの効果があるのかは不明だが、もう少しあった付き合いの回数を、年頃の少女の潔癖さを考慮して抑え気味にした。


……楽しめず、すぐに帰った思い出が蘇る。

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