瞳が映す景色
久しぶりに林檎を口にしたオレは気分が悪くなり、校庭の隅でしゃがみ込む。隣では、白鳥先生がまださっきの恨みつらみを言い続け離れてくれない。
「白鳥先生。さっさとキャンプファイヤーを楽しむ生徒を心配して見回ってきて下さい。他の先生はそうしてます。いつもは先頭に立ってるじゃないですか」
「こういうのは自主性を大切にしないとね~」
……なんてのは逃げ口上だ。
「ほら、僕ばっかり見つめてないで」
「見つめてません」
「それとも、一緒にいたいの?」
「……行ってきます」
おかしなことを言われながら、視線をキャンプファイヤーの方へと促された。
夜の闇に炎が映える。
オレンジ色に照らされる景色の中、ふと、視界に藁科が入る。遠くなのに見つけてしまったのは、向こうがこっちを見てきたからだ。
楽しそうにしていたのに、きっと、ふらふらとするオレを心配して落ち着かなくなった。
「……」
どうこうなどなるつもりなんてないのに、こんな理解は卑怯だと……自覚はある。