瞳が映す景色
藁科の気持ちは疑ってなどいないさ。
けど……。
あんなに楽しそうに、友達と笑い合う藁科。オレの前で出来ない笑顔をそっちで出来るんなら、そういう相手と幸せになるべきなんだよ。
そちら側と、こちら側。その間には大きな隔たりがあって、それは、自然に溢れる笑顔さえもこうやって抑えつけてしまわなければいけないくらいの威力があるんだ。
オレは藁科に対して、それを越える感情など持ち合わせていない。
藁科は、持つべきじゃない。
.
―――――――――――――――――――――
①ー2・ひそやかな
―――――――――――――――――――――