瞳が映す景色
睨みつけると、困惑しながらも怯まないといった表情で見下ろされ、その眉根には皺を寄せていた。
何も、言わない。訊かれない。あたしが、誰かなんて。
「白鳥さんが焦がれてやまない純粋な気持ちだった、あの時のあたしを、白鳥さんは嘲笑った。そして今の不純で不謹慎なほうを認めるんだねっ!!」
深く、今のほうが白鳥さんを知れてはいる。でも想うことは一緒で心の同じ場所にある。好きで好きでどうしようも、どうしていいかもわからないんだ。
寧ろ、今の想いは不純物が混じり濁った沼みたいなのに、何をもって白鳥さんはあたしを選ぶのか。
「好きの先に一緒にいたいとか、そういう未来を夢見てたあの頃のほうがよっぽど……なのに白鳥さんは今のあたしを……」
そんなふうに受け入れてほしくない。
「……ねえ、それって何なの? 白鳥さんはただただ嘘っぱちなだけ? 本当だとしたら、不純なあたしはいつか、やっぱり違うって簡単に見限られておしまい? またあんなふうに酷いこと言われるの? ……そんな人の隣にいるのは、しんどい」
薄暗い中でも僅かな虹彩を放っているようなその目が大好きだ。それは、あたしといたら汚れてしまう。恐ろしいことは避けて通りたい。
「今のあたしは望まない。あんな酷い言葉と態度であの時あたしを遠ざけた白鳥先生なんかと一緒にいるなんて、許さない。泣いた皆がさせてくれない。あたしも、同じだから」
駄目なんだ。選ばれちゃいけない。
トラウマの一端にもなれない……覆すことも出来なかった、埋もれて忘れられた生徒のひとりだったあたしがなんて。
たまたま、偶然、先生と生徒以外のかたちで再会した。だったら、誰でも状況があればこうなっていた?
そんな気持ちに添いたくない。そうしてしまえば、同じライン上にいた皆があまりにも報われない。