瞳が映す景色


――――
――


アパートの玄関の扉を開けるとそこには……土下座をした藁科がいた。


「……おかえりなさい。申し訳ありませんでした」


遡ること二時間前――悲劇の現場に駆け寄ったところ、藁科は無傷だった相手の子どもに爆笑されていた。どうやら、恥ずかしすぎて浮かんでこれなかったようだ。


「藁科、大丈夫か?」


「……はい……」


噴水の水は、濁りだけでなく匂いもしていて。


全身びしょ濡れの藁科は、落ちる水滴を絞っただけで帰ると言い出した。


「はあっ!? そんなんで電車乗ったら周りが迷惑だっ。生ゴミ臭だぞっ」


「匂いもっ!?」

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