瞳が映す景色
駅前にあった、藁科くらいの子たちが利用する、全身揃えてもお手頃価格の服屋を指差させ、店の前に藁科を立たせた。まさかあれを店内に連れていくことも出来ず、オレが代わりに店員に話しをする。
「あの子のサイズで一式を……」
外では、藁科が奇異の視線を投げられていた。自業自得だ。オレの方が最悪だ。こんなピンクやらカラフルなところに男ひとりなんだ。
カラフルな店のカラフルな店員は、中身はとても優しい人だったようで、びしょ濡れの藁科を察してくれる。オレでは困難だろうとコンビニで下着類も買ってこようかと提案してくれ、大いに助かった。
そして、申し訳ないと言い続ける藁科を、オレの家に連れていき。
……仕方ない。本当に臭かったし、映画を観て服を買ったオレの財布には、もう予算はなかった。 カードの類は家だった。
仕方なく、オレの家の風呂へ放り込んで、その間、外出することにしたのだった。
――
――――