瞳が映す景色
「――映画か。悪くはなかったが、オレは大団円が好きだ。結局、一緒の時を過ごせないだろう? あのふたりは。いや、一人と一体、か」
淡々とした運びが世界観と合っていた。人間とロボットの恋愛映画。
否定的なオレに対し、藁科は夢心地に感想を述べていく。
「自分だけ、老いていくのを知って。自分だけ、 永遠に残されるのを知っていて。それでも寄り添う道を選んだのは、とても――とても幸せなことに感じたの、私は」
藁科の言葉が甘酸っぱすぎて、オレの部屋の景色が、映画のそれに変わっていく。
まるで夢の中、みたいだ。
「なら、あのふたりにはハッピーエンドだな」
「幸せだった。きっと」
蕩けるように、頷かれた。