瞳が映す景色
職員室に到着する頃には、オレは自分の重みに潰されそうなくらいに疲れていた。
「おおっ、片山先生待ってたよ。――何? どうして息切れてるの?」
「……いえ、別に」
職員室に戻ると、隣の席の白鳥先生の傍らには藁科がまだいた。ふたりは眉を寄せていたが、オレの姿を確認すると、途端に晴れた顔をする。
「さては、藁科のピンチを感じて走ってきたね? だったら片山先生、一緒に教室まで運んでくれるよね~」
「プリントじゃなかったんです。もう重くて重くて……」
と、縋るような目で見られる。
疲れているのに……。
「分かりました。白鳥先生は足怪我してますしね」
「だって海堂帰っちゃうなんてさ。良かったなね、藁科~」
「はいー。じゃあ行きましょう、片山先生っ」
そうして職員室の滞在は一分にも満たず次の目的地へ。……教室までは、遠かった。