瞳が映す景色
①ー6・茜の中で
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①ー6・茜の中で
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毎年同じように感じる。自由登校になり、三年生がごっそり抜けた校内というのは、想像以上に寂しい雰囲気だと……。
あちらこちらに卒業式の装飾が施されているから動きづらいのだろう。今の時期は、在校生も無駄に校舎に残ることなく帰っていく。
もう明後日は、卒業式だ。
校内の見回りをしていると、教室の中から声がした。もう、荷物も人も空っぽなはずの、三年生の、とあるひとクラス。廊下に微かに漏れる声は、何かを悔やんでいるようだ。
足は、止まらざるをえなかった。
――ああ。聞き間違いなんて、するものか。
「順番を……私はすぐに間違えちゃうんです。待てばいいことを焦っちゃう。すぐにでも知りたくなる。――気が……急いて、急いて、仕方なかったんです」
この声だけは、絶対に。
①ー6・茜の中で
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毎年同じように感じる。自由登校になり、三年生がごっそり抜けた校内というのは、想像以上に寂しい雰囲気だと……。
あちらこちらに卒業式の装飾が施されているから動きづらいのだろう。今の時期は、在校生も無駄に校舎に残ることなく帰っていく。
もう明後日は、卒業式だ。
校内の見回りをしていると、教室の中から声がした。もう、荷物も人も空っぽなはずの、三年生の、とあるひとクラス。廊下に微かに漏れる声は、何かを悔やんでいるようだ。
足は、止まらざるをえなかった。
――ああ。聞き間違いなんて、するものか。
「順番を……私はすぐに間違えちゃうんです。待てばいいことを焦っちゃう。すぐにでも知りたくなる。――気が……急いて、急いて、仕方なかったんです」
この声だけは、絶対に。