三周年記念小説
[あの女と
複数の男たちに捕まった]

それだけ打って送信した。

何時あいつらが
来るかわからない状況で
経緯まで説明していられない。

窓の外を見ると
此処は三階らしかった。

窓を開けたら
気付かれるよな?

どうやって此処から
脱出しようかと
考えあぐねていると
またメールが来た。

[一人にしてごめんな、
場所わかるか?]

恵が謝ることじゃないのにな。

[お前のせいじゃない
場所は多分
○○ビルの三階だ
窓の外に●●商事の
看板が見える

帰ったら何でも
言うこと聞くから]

さっきよりも長めだが
あいつらが来る気配はなく
時計を見ると零時を回っていた。
久しぶりに
恵に抱かれるのもいい。

幸いなことに
あいつらは強姦は
してこなかった。

縛り上げているんだから
ヤろうと思えばヤれたはずだ。

時間は刻一刻と過ぎていく。

眠ったら負けだ。

睡魔に少々
負けそうになった瞬間
メールが来た。

ナイスタイミングだ恵。

[さっきの言葉忘れるなよ?

また随分と遠くまで
連れて来られたな

今から迎えに
行くから待ってろよ]

イライラしながら
運転してるだろう
恵が瞼の裏に浮かんで
小さく一人で笑った。

‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡

バン!!!

隠す気なんて
さらさらないといった風に
階下から大きな音がした。

その音で
あいつらが起きたのか
騒がしくなって来た。

今なら大丈夫だろうかと
部屋の扉を開けてみる。

三階には誰もいなかったらしい。

階段を静かに降りて
一階までたどり着いて
見た光景は思わず
犯人に同情したくなるような
ものだった……
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