三周年記念小説
「カワイイこと
言ってくれるじゃん」

チュッと額にキスされた。

「そうだ、亮
当分の間
外出禁止な」

予想はついてたから
驚きはしない。

「欲しい物があったら
俺たちが買って来てやるから」

愛されてるんだな。

“普通の人”はこれを
“愛”とは呼ばない。

だけどこれが俺たちの
“普通”で“愛”なんだ。

「解った」

此処に居ない文也と胡桃も
あんなことがあったと知ったら
恵と同じことを言うだろう。

声を揃えて『外出禁止』と。

軟禁生活の幕が開いた。

傍から見れば異常で
理解しがたいことだろうけど
誰かに理解してもらう気は
これっぽっちもない。

「恵、キスしてくれ」

目を閉じて恵からのキスを待つ。

最初は軽く触れるだけのキス。

今度は舌で唇をノックされる。

それに応えて
唇を開くと激しいキスに変わる。

恵の首に抱き着き、
自分から舌を絡める。

例え一生軟禁されても
俺は困らないだろう。

恵と文也と胡桃が
傍にいてくれる限り。
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