三周年記念小説
最終話∫季節は巡る
〈亮太視点〉

あの拉致騒動から早三年。

俺の軟禁生活は
今も尚続いている。

外に出られないのと
友人と連絡を取れないだけだ。

今の携帯のメモリーは
家族のものだけ。

本来、そこまで
外出が好きなわけじゃないし
物にこだわりがあるわけじゃから不自由はしてない。

〈胡桃視点〉

亮ちゃんが
拉致されたって聞いた時は
気が狂いそうだった。

あの忌ま忌ましい日から三年。

外出しなくても亮ちゃんは
気にしてないから
私たちもそれが
当たり前だと思ってる。

〈文也視点〉

亮くんが拉致られたと
聞かされた時は
そいつらを見つけ出して
殺(や)ってやろうかと思ったけど
当人に止められたから断念した。
軟禁生活三年目だけど
亮くんは何も言わない。

皆が居れば
いいんだと笑っている。

〈恵太視点〉

あの拉致騒動から三年経った。

亮はこの軟禁状態に
文句一つ言わない。

胡桃や文也もそれが
当たり前だと思っている。

あれから、
あいつらは俺たちの前に
現れることなかった。

「なぁ亮、外出たいか?」

散髪は文也がしてくれるし
手足を縛ってるわけじゃないから外に出ないってこと以外は
今も昔も変わらない。

「別に特には」

これが亮の答えだ。

俺たちは俺たちの
生き方でこれからも
四人で変わらず過ごして行く。
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