三周年記念小説
クスッと笑って立たせ、
ギュッと抱きしめ、
また耳元で亮くんが
囁くと恵くんが
真っ赤になった。

大方「帰ったら手加減しない」とかそんな感じのことを
言ったのだと思う。

「皆の赦しが出て
すっごく嬉しいけど
今すぐは帰れないんだよ」

それはそうだな。

「わかってるよ
だから、一ヶ月で
ケリをつけて帰っておいで」

ショルダーバッグから
メモ帳を出し、そこに
今の住所と亮くんの
携帯番号を書いて渡した。

『恵くん、
待ってますから
なるべく早く
帰って来て下さいね』

動けずにいるののさんを
置いて俺たちは
恵くん家を出た。
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