★甘えん坊な彼★~夢璃争奪戦~
「最悪だ…。」
「お前、何言ってんだ。
というより、何してんだ。」
先生が不思議な顔をして言った。
ここで折れちゃダメだぞ、自分っ!
「…あの…。
びっ、病院に行ってきて、お母さんの薬をですね…、じゃなくて道案内っ…!」
あっ!
「違うっ…。気分が悪かったんだっ!」
私が笑って言った。
結局は、めちゃくちゃ…。
「嘘がつけない性格なんだな…。」
先生が呆れ顔で言う。
「………寝坊して遅れました。」
完敗です……。
正直者は、良い事だと言うけどこういう時に困る。
心の中で溜め息をついた。
「夢璃、おはよ。」
後ろから、声が聞こえた。
戒斗だ。
「戒斗も遅刻……。」
と、思ったら。
私と先生の間を通り抜けていった。
「……え、遅刻じゃ、」
言おうとしたら、先生の方が早かった。