未来からの贈り物




六月二十五日

土方の計らいで、総司は今日非番。


朝餉の後、二人は街に出た


デートだ。 二人で買い物をして、河原に来た。莉奈は傘を被り、総司はマスク着用。


総司「今は外だから絶対泣かないで欲しいんだけど………良い?」


莉奈「努力はしてみます」


総司「これ……簪と言って……祝言を申し込む時に渡すんだ。」


莉奈「……………………………。
泣きそうですが…………………。」


総司「それはいけません!耐えて下さい。 笑って?」


莉奈は無理矢理笑顔を作る


総司「受け取ってくれる?」


莉奈「はい!幸せにして下さい」


総司「違います!あなたが私を幸せにするんです」


莉奈「……………………………。
二人で……幸せになろうね?」


総司「うん。 それから………。」


総司が懐から取り出した物………


シャラン


莉奈「………………………………。
いらないっっっ!!!」






お父さんから貰ったクロスのネックレス






総司「どうしようか迷ってたんだけど……。これはやっぱり莉奈が持ってるべきだよ」


莉奈「(ガクガクガクガクガクガク)」


未来なんか……思い出したくもない!


総司「誰からの贈り物?」


莉奈「父です……。父のせいで……私の人生は最悪だったの!!!お母さんも出てっちゃうし! 一人で頑張って来たの!」


総司「……………………………。
そう。 辛かったね…………。でも、
これからは僕が莉奈を幸せにする。
もう…………未来に帰ることもないし。
許してあげても良いんじゃない?」


莉奈「お父さんのせいで私は犯されたんだよっっっ!!! じゃあ……

許し方を教えてよっっっ!!!」


総司「僕の父は……武士だったんだけどね……。殺されたんだよ………。母も、幼い時に病で亡くなって……姉に育てられてたんだけど……お金が無くてね……試衛館に預けられたんだ。

僕は……そのお陰で強くなれたし、新撰組に入ることが出来たんだ。

そして……新撰組に入れたからこそ……莉奈と出会えた。 悲しみは……

時に幸せに変わる…………………。」


莉奈「っっっ!!!」


総司「莉奈も辛い事ばかりだったけど……新撰組に幸せを見付け、僕と言う大切な夫が出来るんだ。

二人で幸せになるなら………過去の辛さも……幸せに変えよう……………。」


莉奈「……………………………。」


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