未来からの贈り物
莉奈は御所を飛び出した。
帰ったら怒られるな………。 今日は総司の巡察の日。 町をゆっくり歩いて行く。
目立つ……………………………。
まずかったな………。
発見っっっ!!!
少しだけスピードを上げて総司の後ろにつくとゆっくり歩いて鞘で総司を突ついた。
総司「っっっ!!! 何やってんの!!! 傘はっっっ!!!」
莉奈「お散歩ですよ」
総司「……………………………。
一人で?」ジト
莉奈「え………えぇ。 睨まないで」
総司「御所から出てる事……みんな知ってるんだよね………」ジト
莉奈「え……えぇ。 モチロン……」
総司「抜け出して来たの………?」
莉奈「この子を紹介したくて……」
たてがみを撫で、総司の顔を見た。
莉奈「私の宗次郎くんです」ニコッ!
総司「っっっ!!!宗次郎……くん…」
莉奈「大好きなの! 可愛いでしょ?」
総司「良い馬だね………」
莉奈「宗次郎くんです!!」
総司「綺麗な毛並みだね。宗次郎くん」
と、首を撫でる総司。恥ずかしそうだ…。
莉奈「でしょ? 御所唯一の宝物です」
総司「早く帰りな。不逞浪士だ……」
莉奈「おかしいな……長州藩士は京にいないはず………」
総司「莉奈!早くっっっ!!!」
総司は宗次郎くんのお尻を叩いた
宗次郎くんは走り出したが、莉奈は手綱を引き、宗次郎を止める
莉奈は長州藩士の下へ向かった。
総司「莉奈っっっ!!!」怒鳴る総司。
莉奈「長州藩士の方ですか?」
「いぇ……」
莉奈「名前は……」
「伊藤……」
莉奈「伊藤直右衛門」
「っっっ!!!」
莉奈「私は近藤莉奈」
「っっっ!!! お前が……天女か!」
莉奈「下関ではあなたのお仲間と共に戦わせて頂きました」
伊藤「その説は……」
莉奈「やはり……長州藩士ですね?」
莉奈は馬から降りて手綱を手に巻きつけ伊藤の前へ立った。
手綱に手を絡ませたのは誘拐を防ぐため………。
総司「莉奈は戻りなさいっっっ!!!」
総司は抜刀し、伊藤に突き付けた。
莉奈「岩倉具視がしようとしてること……。私は理解できない。 桂小五郎は分かるけど……岩倉具視は理解出来ない。
私は長州のやることに反対してる訳じゃない。 やり方が間違ってるの。分かる?」
伊藤「はははは。流石天女だな……」
莉奈「坂本さんや高杉晋作も……分かる。岩倉具視は……何故あなたに暗殺させる………」
伊藤「……………………………。」
莉奈「あなたを本当に懐刀と思っているなら……暗殺なんかさせない。
あなたも気付くべきです。伊藤博文さん」
伊藤「???」
莉奈「博文…この名前を忘れないで。」