人形
・・・まぁ良いか。
「涼馬くん、歌教えてよ」
「練習はやめたはずでは?」
「やめないわよ。
前言撤回して。
今から練習して、合格するのよ。
私だけ不合格じゃ困るからね」
「・・・かしこまりました。
これが、最後のチャンスでございます」
「どうして最後?」
「・・・先ほどから、隆也様から帰りが遅いなどと言った催促が来ているのでございます。
わたくしは仮にも執事ですので、きちんと由真をお屋敷まで帰らせるという任務がございますからね」
なんと!
「教えて今すぐ!
あのお父様は、心配性なのよ!
お父様だけでなく、お母様もお兄様も!
あんまりにも帰りが遅いと、警察に捜索願とか出してしまうのよ!」
前に出されそうになっていたから、私は早く帰ることを決めていたのに。
出すのを前みたいに阻止出来なかったら・・・!
・・・想像するのさえ、恐ろしいわ!!
私はそのあと、厳しいレッスンを受け、帰りそうになっていた音楽の先生を引き留めて、急いで再テストを受けたのだった・・・。