人形
☆☆☆
「・・・一睡も出来なかった」
次の日、私は起きて一番に呟いた。
「おはようございます由真。
今朝の朝食は、スクランブルエッグに、クロワッサン、サラダでございます」
いつも通りの無表情執事が、無駄のない動作で、私の前に料理を運んできた。
「あ・・・おはよう」
「どうされましたか由真。
顔色がすぐれませんね。
果物でも持って参りましょうか?」
「ううん、いい。いらない」
私はちびちびと、クロワッサンをちぎって、口へと運び、もそもそと口を動かす。
・・・食欲ないわ。
いつも通り、美味しいんだけどね?
「どうされましたか?
何か悩み事でもあるのでございますか?」
「ないよ・・・そんなこと」
「今日は学校をお休みなされた方がよろしいのでは?」
「いい、休まないで」
「ご無理はなさらないでください」
「無理なんてしていないよっ!」