人形




 思わずテーブルを叩き、立ち上がる。



 ・・・が、くらっと立ちくらみがして、よろける。



「・・・大丈夫ですか、由真」


「・・・大丈夫、離して」



 思わずサッと受け止められ、少しだけ体温が上がる。



「少々、体温が高いように思えますが?」



「べ・・・別に大丈夫ですぅ!」



 変な言い方しちゃったじゃない!


 この・・・鈍感執事!


 涼馬くんって、超鈍感無表情完璧人形執事ね!



 長いあだ名だけど。



「このまま学校に行かれるのは危険でございます」



 受け止められた状態のまま、サッとお姫様抱っこされる。


 小さい頃からお兄様にせがんでやってもらっていた経験者の私は、漫画のヒロインみたいにドキドキはしなかった。



 涼馬くんにされることがわかっていたら、お兄様にせがまなかったのに・・・。


 惜しいことしたなぁ!



 もしお兄様に頼んでいなかったら、私は今凄くドキドキして心臓が破裂しそうな勢いだったのに・・・。






< 114 / 208 >

この作品をシェア

pagetop