人形
思わずテーブルを叩き、立ち上がる。
・・・が、くらっと立ちくらみがして、よろける。
「・・・大丈夫ですか、由真」
「・・・大丈夫、離して」
思わずサッと受け止められ、少しだけ体温が上がる。
「少々、体温が高いように思えますが?」
「べ・・・別に大丈夫ですぅ!」
変な言い方しちゃったじゃない!
この・・・鈍感執事!
涼馬くんって、超鈍感無表情完璧人形執事ね!
長いあだ名だけど。
「このまま学校に行かれるのは危険でございます」
受け止められた状態のまま、サッとお姫様抱っこされる。
小さい頃からお兄様にせがんでやってもらっていた経験者の私は、漫画のヒロインみたいにドキドキはしなかった。
涼馬くんにされることがわかっていたら、お兄様にせがまなかったのに・・・。
惜しいことしたなぁ!
もしお兄様に頼んでいなかったら、私は今凄くドキドキして心臓が破裂しそうな勢いだったのに・・・。