人形
「お母様!」
私が駆け寄ろうとすると、隣に風が吹いた。
ふわ・・・と一瞬だけ。
「大丈夫ですか?」
お母様を階段の下で支えているのは、紛れもなく涼馬くん。
じゃあ、さっき風を起こしたのは、涼馬くん?
え?でも彼は足・・・。
「ありがとうございます。
助かりましたわ」
「今後はお気を付けくださいませ」
「ええ。気を付けますわ」
私はそっと2人近づいた。
「お母様、大丈夫?」
「由真ちゃん。大丈夫よ」
「それなら良いんだけど・・・。
涼馬くん、足は大丈夫?」
「え?リョウマくん?」
「お母様、ご存知なの?」