人形
第3章
涼馬くんの行方
☆☆☆
私の家から数分の所にある、ごく普通の住宅地。
1回しか行ったことないけれど、場所は今だ覚えている。
ピーンポーン
『どちら様ですか?』
大人っぽい声が、インターフォン越しに聞こえる。
「泉です。緑さん、いますか?」
『えっ・・・由真?』
「その声・・・翠子!?」
インターフォンに出た大人っぽい声は、翠子だったの!?
すぐにインターフォンを切った翠子は、バタバタと部屋着のまま出てきた。
裾がふんわりとした、可愛らしいピンクのワンピースだ。
いつもシンプルな服しか着ない翠子の部屋着は、初めて見た。
「あ・・・ごめん、こんな恰好で。
由真だから良いかなって思って」
「気にしないで翠子。
凄く似合っているから」
「ふふ、ありがとう。
ところで由真、お兄ちゃんに用なの?」
「そーなの!
緑さん、今いるかな?」