人形
あーあ、私嘘つきだなぁ。
どこへでも行って良いって・・・。
可笑しくないか?
行ってほしくないくせにね。
「由真お嬢様」
「あ・・・どうだった?」
「丁度お父上もお話したいと申しております。
どうぞ、お入りください」
扉を開けてくれたので、私は入る。
部屋の中は、変わっていない。
まぁ、当たり前か。
あの日と同じように、お父様は部屋の中に置いてあるソファーに腰かけていた。
あの日・・・、涼馬くんを紹介された時と同様に。
「由真、久しぶりだね。
立っていないで、座りなさい。
今日仕事は終わらせた。
僕もこのままでは悪いと思うからね」
私はお父様の向かいに腰かけた。
「話したいことはわかっている。
涼馬くんのことだろう?」
「ええ、そうですわ」