人形
「そうだな。
僕もそう考えたことあるよ」
「じゃあ、どうして?」
まさか、私は必要ないから?
財閥を継ぐお兄様しか興味ないの?
「変なことは考えるなよ由真。
僕は由也も由真も愛しているよ?」
私の心の声を読んだように、お父様は言う。
良かったよぉ・・・!
「由真なら、涼馬くんの気持ちや意思を、変えられると思ったから。
由真には話していなかったけどね。
前に僕と優里奈、翠子ちゃんのご両親に会ったことあるんだ」
翠子はよく私の家に遊びに来るので、お父様にも何回か会ったことある。
「会ったことあるんだ・・・」
お父様の発言に、私はひどく驚いた。
沢木兄妹のご両親は、県外へ仕事に出かけているため、夜遅くまで帰らない。
土日も仕事らしい。
何をしているかは、わからないけど。
仕事が忙しいため、学校行事にも顔を出さないため、私は会ったことない。