人形




「涼太は、泉の元副社長。
つまり涼馬くんのお父さんだね。

涼太と僕は幼馴染でね。
母親同士が仲良くて、小中高大学と、ずっと一緒だった。

優里奈と出会って結婚して、僕は優里奈の父親、由真のお祖父ちゃんから泉財閥の社長を継ぐよう言われて、僕は社長になった。

涼太は大学を卒業後、高校の頃から付き合っていた間宮財閥の令嬢・結衣(ゆい)さんと結婚して、涼馬くんができた。
それまでは幸せだったんだけど、涼太の勤めていた会社が、突然倒産したんだ。

仕事を失った涼太を、僕は副社長に命じた。
間宮財閥は結衣さんが継ぐ予定をしていたからね」



 泉家と都築家に、こんな深い関わりがあったなんて。


 今日、本当に色々なこと聞くなぁ・・・。


 


 ・・・って、継ぐ予定?


 正式には継いでいないってこと?



「予定って何?
結衣さん、継いでいないの?」


「どうやら、継ぐって日に、亡くなったらしいんだ。
詳しくは僕も知らない。

間宮財閥の令嬢2人が亡くなってしまって、他に跡取りがいなかった間宮は、ついに没落してしまった。
僕も本当は助けたかったけど、立て直せない所まで経営が傾いてしまったから。

間宮には娘2人だけだったし、従兄妹とかもいなかったみたいだから」



 どうして、継ぐという大切な日に、結衣さんは亡くなったのだろう。


 結衣さんだけでなく、涼太さんまで。







 何があったのだろう、あの日屋上で。







< 144 / 208 >

この作品をシェア

pagetop