人形
リョウが俺に差し出したのは、俺がはまっているアニメのキャラクターの写真。
由真ちゃんが家に来た時、風呂上がりのため上半身裸だった俺が慌てて着た、あのTシャツにもプリントされていたキャラクター。
「おぉ、サンキュ!
めっちゃ良いんだけどー!!」
写真には、ご丁寧にキャラクターの声優さんのサイン入り。
激レアなんだよなーこれ。
「僕のシナリオ通り動いてくれてありがとう。
凄く助かった。
じゃ、僕はこれで。
多分、2度と会うこともないでしょうが」
・・・おいおい、ちょっと待て。
「会うことないってどういうことだよ!」
写真を急いでポケットに仕舞う。
海風で飛んで行ったら、すげぇ悲しいから。
振り向いたリョウは、やっぱり作られた笑顔で答えた。
「そのままの意味だけど。
・・・あぁ、訂正しておくよ」
「訂正・・・?」
「そう、訂正。
じゃあ、僕はこれで」