人形





「そのシナリオの内容って、どんななんですか?」



「まず初めに、リョウが俺宛てにメールを送る。
俺はその後、来るであろう由真ちゃんに、メールを見せて、リョウと連絡が付かないことを教える。
俺は少しだけ由真ちゃんに、リョウのことを教える。
家族とか、好きなモノとか、話の流れに合うように。

由真ちゃんが家に帰った後、俺はリョウと落ち合うって言うシナリオだ」



 全て涼馬くんの作戦だったの?


 私が来ることも予測済みだったなんて・・・。



 ある意味、恐ろしいわね。




「ごめん、嘘ついていて。
でも俺、あいつのこと裏切られなかったんだ・・・」



 本当に緑さんは反省しているみたい。



「教えてくれたから、良いですよ。
気にしないでください。

でも、どうして教える気になったんですか?」



「俺、さっきまでリョウと会ってたんだ。
リョウ、帰りがけに行ったんだ。

じゃあ、僕はこれで。
2度と会うこともないでしょうがって・・・」



「2度と会うこともない・・・?」



 私はふと、考えた。




 2度と会うこともない。


 2度と会わない。






 2度と、会 え な い 。







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