人形
「リョウだよ。
遥華へ来るよう、指定されたんだ」
「あの辺は、色んな所へ行くバスが多くて、バスの路線図から行き先を探すのは困難です。
もしかして涼馬くんは、それを承知の上で、遥華海岸を待ち合わせ場所に指定したんじゃ・・・」
「あり得るな。
リョウ、昔から頭良いもん」
「じゃあ、私たち、どうやって涼馬くんを探すんですか?
バスの路線図から探すことは不可能です。
電源も切られているでしょうし」
「かけてみるか?」
「お願いします」
スマホを取り出し、緑さんは涼馬くんへ電話をかける。
お願い、繋がって・・・!
しかし、私の願いも、儚く砕け散った。
「駄目だ、繋がらねぇ。
電源は切っていないみたいだ。
由真ちゃんも、かけてくれるか?」
「どうして私が・・・。
誰がかけても、同じじゃないですか?」
「由真ちゃんは、リョウの主だろ。
ほら、言うだろ?
王様の命令は絶対だって」
私、王様じゃないんだけど・・・?